「自分らしさ」を探す前に、身につけてほしいもの

最近、「自分らしく」という言葉をよく耳にします。
SNSを開けば、
「個性を大切に」
「自由に表現しよう」
そんな言葉が多く並んでいます。

もちろん、それが間違いだとは思いません。
けれど私は、その言葉を聞くたびに、
立ち止まってしまいます。
本当に、その順番でいいのかなぁ…。

花の世界でも同じです。
「好きなように生けてください」
「感性を大切にしてください」
そう言われると、一見自由で心地よく感じられます。
けれど、何を基準に花を選び、
何を基準に良し悪しを判断すればよいのかが分からなければ、
その自由は、やがて「迷い」に変わります。

花を選ぶたびに迷う。
配置を変えても、何が違うのか分からない。
完成しても、 「何となく違う気がする」
そんな経験はありませんか?

私は、センスとは才能ではなく
「判断の積み重ね」だと考えています。
どの花を選ぶのか、
どの色を合わせるのか、
なぜその高さにするのか、
なぜその花を主役にするのか。

美しい作品には必ず理由があります。
その理由を知ることで、
感覚だけに頼らず作品を組み立てられるようになります。

もちろん私自身も、最初から出来た訳ではありません。
何度も作り、 何度も崩し、
思うようにいかない時間を多く経験してきました。
だからこそ、強く実感しています。
遠回りを減らしてくれるのは、才能ではなく「理論」です。

理論は、あなたを縛るものではありません。
迷ったときに立ち返ることができる、地図のようなものです。
地図があるからこそ、安心して道を外れ、新しい景色を見つけることもできます。

「自分らしさ」とは、
最初から探し求めるものではなく、
積み重ねた技術や知識の先に、自然とにじみ出てくるもの。

レッスンでは、ただ作品を一つ完成させることだけを目的にはしていません。
なぜそのデザインなのか、
なぜその花を選ぶのか、
美しさの理由まで理解していただくことを大切にしています。

その積み重ねが、
いつか誰かの模倣ではない、
自分だけの表現につながると信じているからです。

「自分らしさが分からない」 もし今そう感じているなら、
焦って探す必要はありません。
まずは、美しさを見極める基準を育てること。

その先に、本当の意味での「自分らしさ」がきっと花開いていきます。

鳥かごアレンジークレマチスー